昔、米づくりがさかんであった頃、芋にホタルを閉じこめて本を読んで勉強したという久米島では、島固有のホタル童謡(子守歌)も歌われていました。
♪ 山のくみじる (米汁即米磨汁の事か)
♪ てー、たー、みー、よー (ひい、ふう、みい、よう)
♪ 高山の水くわて (高山の水のんで)
♪ 落てれよ じんじん (落ちろよ 蛍)
♪ さがれよ じんじん (さがれよ 蛍)
※左側が童歌で右側は対訳です(平凡社発行 島袋全發著「沖縄童謡集」より引用)
しかし、昔はたくさん見られたクメジマボタルの光も現在は極めて少なくなりました。その原因は、水田を中心とした里山環境が、赤土とともに肥料(土壌)や農薬が大量に流出する農耕地へと変化したことがあげられます。残念ながら赤土の影響のない川は、島ではほとんど見られません。とりわけ、島最大の河川である白瀬川への赤土の流出は深刻です。かつて、下記のように歌われた川の面影は、今では歌の中でしか知ることができません。
「幾年よ経ても にごりないぬものや 白瀬走(しらせはい)川(かわ)の 水のかがみ」
(長い年月がたっても、にごることのない美しい清流白瀬川よ、まるで水の鏡のようだ。人の世もこうありたいものだ)
昔、島中、田んぼだらけであった頃、山のくみ汁と呼んで大切にした、大雨の際に森からあふれだす栄養分にとんだ白濁水。それが満ちたダム湖を駐留米軍はミルクレイクと呼びました。
その名の様に白い濁流となる白瀬川をもう一度、復活させるために私たちは行動を起こし始めました。現在では牧草地の改良事業を含む公共工事からの赤土の流出はほとんどなくなりました。現場の赤土対策と管理が徹底して行われる様になってきたからです。しかし、まだ多くのサトウキビ畑や一部の牧草地の改良事業では、現在も赤土流出が続いています。多くの方々の努力がみのるのは、この先5年、10年の年月を必要とするかもしれません。しかし、いずれは赤土が流れなくなる日が来ると確信しています。
また、生活排水・産業排水の不適切な処理、危険な化学物質を含んだゴミが長期間にわたり投棄され続けてきたという事実もありますが、近年、解決へ向けての地道な取り組みとして、長年放置されてきたゴミを徹底して回収する作業も始まりました。生活排水を下水道につなげる各家庭の努力も広がるでしょう。
陸地(ほたる)から始まる環境破壊を最前線でくい止めていくことは、破壊されたサンゴの海を確実に復元することに結びつくという認識も少しずつですが浸透し始めています。 |